秋の奈良へ

11月の初週末には、相撲のインカレがある。東大相撲部にとっては一年納めの大会で、奇数年は大阪堺、偶数年は両国国技館で行われる。筆者の引退は2022年で国技館だったため、今年は堺である。

折角なので、前日に奈良に寄ることにした。早起きが苦手なので、夜行バスを利用する。f:id:koyama_jph:20231103185938j:image

一ヶ月前に仙台に向かって以来のバスタ新宿

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最高級バス、DREAM sleeperにお目にかかれたが、残念ながら今回乗るバスはこれではない。

この日はほとんど疲れていないせいか、全然眠れなかった。

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気づいたら大和八木駅に着いていた。寒い。「さららちゃん」という、少し目つきの悪い橿原市キャラクターが出迎えてくれた。「さらら」は持統天皇の名前、「鸕野讃良」に由来しているのだろう。1300年後に「さららちゃん」としてデフォルメされているとは夢にも思うまい。

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朝食はミスドに入る。基本的に旅先で東京にもあるようなチェーン店には入りたくないのだが、ミスドは別。

さて、ミスドを出たのが7:30。薬師寺に向かおうとしたが、8:00開門かと思ったら8:30開門だった。別に薬師寺開門凸待ちをしてもいいのだが、折角奈良に来てそれは味気ないので、橿原神宮に寄ることにした。

橿原神宮

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橿原神宮は明治期創建の神社で、神武天皇を祀る。

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どこかの球団マスコットにいそうなマスコットキャラクターがいた。可愛い。

薬師寺

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さて、薬師寺に着く。今回の奈良は、正倉院展秘仏巡りが大きな目的であった。奈良の秋といえばやはり秘仏である。「祈りの回廊」がまとめページを作っているので、奈良に行かれる際にはぜひご参照いただきたい。2023年12月|秘宝・秘仏 特別開帳|祈りの回廊 [奈良県 秘宝・秘仏特別開帳]

薬師寺では、秘仏ではないが、東塔(上写真の右側)落慶を記念して、五重塔の初層が公開されている。五重塔の初層には、釈迦の生涯を描いた像国宝 東塔落慶記念 - 奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Siteが鎮座している。完全に不定期公開で、生きているうちに見られるかわからないものだったので巡り合わせに感謝としか言いようがない。

他の伽藍は半年前の前回3/10 古代を訪ねる旅③薬師寺、唐招提寺、東大寺、平城宮 - koyama_jphの日記見ているので、特には追加で述べることはしない。

さて、玄裝三蔵院伽藍を歩いていた時、母親と2人で歩く、未就学くらいの男の子がいた。すれ違おうとする時、男の子が、「あ、チョコフォンデュがある!」とはしゃいだ。薬師寺にチョコフォンデュなんかあるわけなかろうと思って男の子の指さす方向を見ると、

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百万塔だった。吹き出しかけた。別に未就学児に百万塔を知っていろというつもりはさらさらないので、知識不足を笑っている訳ではない。これを見てチョコフォンデュを連想する想像力の豊かさに、感嘆すら覚えたのである。百万塔がチョコフォンデュに似ているなんて思ったこともなかったが、確かに似ている。そんな薬師寺のひと時であった。

参考:チョコフォンデュ

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平城宮

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次は平城宮に向かった。資料館で特別展をやっていたためである。特別展を見た後は、宮跡を一通り回った。

平城宮はとてつもなく広い。まずは大極殿に向かう。

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大極殿は、天皇が臣下や外国の前に姿を表す、国家で最も重要な建物である。

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大極殿の前には門と楼閣がある。門はすでに復元済み、東楼の建設に取り掛かっていた。

続いて、宮の正門である「朱雀門」付近に集中する観光施設ホーム - 平城宮跡歴史公園 朱雀門ひろばを巡る。これがかなりちゃんとしている。

まず、お腹が空いたので「天平うまし館」に向かった。以前そこで柿の葉寿司と三輪そうめんを食べたためである。

しかし、奈良の料理を出す店はすでになく、イタリアンに変わってしまっていた。

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観光地価格でイタリアンを食べる気にはならなかったので、らほつ饅頭という饅頭を買った。普通に考えてお土産用なので、袋いりませんと言ったら驚かれた。

平城宮いざない館は、ジオラマや再現をふんだんに駆使したガイダンス施設。子供が歴史好きになってくれそうな施設なので、個人的にはかなり気に入っている。

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天平みはらし館は、シアター上映をしている。

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もうすでに全部見たことがあるので、今回は「平城京 はじまりの都」を観た。構成と映像が素晴らしいので、毎回泣きそうになる。

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また北に向かい、もう一つの中央区画、「東区」に来た。平城宮には2つの中央区画がある。ここまでで2時間ほど宮の中を歩き回っている。

法華寺

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平城宮を少し離れると法華寺がある。ここが次の目的地である。これは総国分尼寺で、本来は東大寺と並ぶ大寺院であるが、今は住宅街の中に静かに佇んでいる。

ここには、国宝の十一面観音がある。

⑤海龍王

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次に、海龍王寺(隅寺)に向かう。平城宮の隅であることからそう呼ばれ、ここにも優美な十一面観音像がある。

東大寺

次は東大寺に向かった。

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コロナ禍と比べると随分と鹿が太っている。

大仏殿には寄らずに、法華堂に向かう。秘仏の「良弁僧正坐像」が法華堂で公開されているからだ。本来年に1日しか公開されないが、1250年遠忌ということで、論議台(経を講釈する立場の僧が座る台)の上に座った状態で公開される。

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法華堂に寄った後は二月堂に向かう。二月堂は、絶対秘仏の十一面観音像を祀る堂。厨子の中に入っているのではなく、内陣全体が幕に覆われており、全く中の様子を窺い知ることができない。

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絶対に答えに辿り着くことはないのだが、東大寺で1番好きな場所である。

興福寺

続いて向かったのは興福寺である。興福寺では、北円堂の特別公開がある。北円堂には運慶作の弥勒如来像、無著・世親(高僧)像などが安置される。

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興福寺は他にも、南円堂の不空羂索観音像、三重塔初層など、まだ見ぬ秘仏がある。

帰り際に国宝館に寄った。

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阿修羅はきれいだが、やはり食堂本尊の十一面観音像の方が個人的には好みである。

正倉院展

この時点で相当疲れているが、1番の目的、正倉院展に向かった。

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筆者の関心は文書なので、もっぱら文書や文書に捺された印を見ていた。人の動きを見ていると、なかなか宝物の前で動かない人が多いことに驚く。筆者は別に美術に関する知識もないし、「きれいだ」ということさえ認識すれば3秒見ても10秒見ても同じだと思ってしまうので、奥からちょっと覗くくらいである。

聖武天皇の袈裟や、調として納められた布はすごかった。

 

大会は大阪なので、大阪に向かう。筆者はヤクルト・オリックスファンなので近鉄大阪近鉄バファローズ - WikipediaでもJR東京ヤクルトスワローズ - Wikipediaでもどちらでもいいのだが、JRの方が安かったのでJR奈良駅に向かう。

道中でたこ焼きを食べる。

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おいしかった。座って食べられそうなところを探したので有名店ではないと思うが、有名店信仰は特にない芹沢達也 - アニヲタWiki(仮) - atwiki(アットウィキ)(たこ焼きはだいたい美味しい)ので、気にしない。

明日は大会。みんながんばれ〜