四国九州⑦

ついに旅も7日目に入った。

7日目最初に向かったのは、福岡市立博物館。ここの目当ては、「漢委奴国王」の金印だ。西新駅で降り、館に向かう。

金印は最初の部屋にあった。金印のためだけの部屋である。そこそこ広い、黒い壁の部屋の真ん中に、10円玉などの大きさの金印が鎮座している。

金印の下に鏡が置いてあり、印様も確認することができた。

体験コーナーや再現展示が充実している。

西鉄ライオンズの展示もあった。博物館で野球チームが特集されるのも珍しい気がする。

野球といえば、ということで徒歩10分ほどの場所にあるpaypayドームに向かった。博多滞在中、paypayドームでプロ野球はやってはいるが、ソフトバンク×ロッテなので見に行くことはしない。

続いて、福岡城にある鴻臚館跡に向かう。鴻臚館は古代の迎賓館である。福岡城と被っているのは、時代を通して重要な建物が置かれる様な良い立地、ということだろう。

奥に見える建物は遺構保存館で、礎石や基壇、柱穴の様子を見せている。

福岡城松山城が面白すぎて他がどうしても霞んで見える。

駅にてラーメンを5分でかき込み、電車に乗る。目的地は宗像大社のある、東郷駅である。

宗像大社は、巨岩などを神聖なものとする原始的な祭祀の場所として貴重で、かつ半島や大陸への海上ルートと被るために国家から崇敬されてきたことで有名になっている。

もともと3面あったようだ。2番線は写真右の通り線路が撤去され、2,3番線ホームの2番線側に柵がある。現在は、(左から)1番線、3番線の2面しかない。なぜだろうか。

バスに10分ほど揺られると、宗像大社辺津(へつ)宮に着く。宗像大社では3柱の女神(田心姫たごりひめ神、湍津姫たぎつひめ神、市杵島姫いちきしまひめ神)を祀る。それぞれが沖津宮中津宮辺津宮にあたる。

沖津宮は「神宿る島」沖ノ島に存在し、一般人は、年に一度の機会を除いて立ち入ることはできない。沖ノ島には、

・女人禁制

・一木一草一石たりとも持ち出してはならない

・島で見たことを他言してはならない

という掟がある。神職が10日ごとの交代制で駐在しているという。

中津宮は九州本土から近い有人島、大島に存在する。ここは神湊という港から、お金を払えば誰でも行くことができる。

そして辺津宮は、唯一本土にある宮である。

神宝館という博物館があった。外見から、ガラスケースに物を陳列しただけの博物館かと思っていたがそうではない。照明が工夫され、説明も充実した近代的な博物館だった。

ただ、狛犬背面に刻まれた文字に関する解説で、「宗像第三御前宝前」とあるところを、「宗像第三宮御宝前」と翻刻していたのが引っかかった。アンケートに書いて判断を仰ごうかと思ったがアンケートがなかったし、わざわざ受付のおじさんに指摘するのも痛いので特に何もしなかった。同じような思いで帰る人がいままで何人かいたと思う。

ところで、神宝館に展示してある沖ノ島の宝は持ってきてよかったのだろうか?人間が勝手に持ち込んだものを人間が持ち帰るのはまあOKなのかな、と解釈して納得することにした。そもそも、「沖ノ島写真集!」なんてものが出ている時点で「不言様」(おいわずさま)の掟に反しているのだし。

ごく近くに、「海の道むなかた館」という施設がある。これはあまり堅苦しくない施設で、対象年齢が幅広くなっている。

またVRがあった。子供向けだが、禁足地の沖ノ島を自由に探索できるのは正直楽しい。

メインの部屋には巨大なスクリーンがあり、展示はスクリーンを囲む形で存在する。来訪者が筆者だけという時間も多かったので、好きな映像を選ばせてくれた。

博多駅に着くと、変なところに着いた。よく見ると、「ななつ星」のラウンジだった。「ななつ星」は英訳すると「セブンスター」なので、タバコっぽくて微妙な気がする。

昨日と同じ店で、ゴマサバとブリ丼を食べた。旅行先の美味しいものには金を惜しまない方がよい、というのが信条。

ジョッキビールでなく瓶ビールなのは、研究室が恋しくなっているのかもしれない。